キャリアを考えるとき、多くの人は
「何を選ぶか」
「どこへ向かうか」
という明確な答えが欲しいと思います。
人は直面する悩みに対して、「転職するかしないか」のように、
究極の2択でその悩みの解決を急ぎます。
一方、キャリア心理学では、
答えを急ぐのではなく、人が変化にどう向き合うかという視点を大切にします。
その代表的な理論が、ナンシー・シュロスバーグの転機理論です。
今、まさに転機にあると感じる方はぜひ参考にしてみてください。
シュロスバーグ理論が扱うもの

ナンシー・シュロスバーグは、
キャリア上の転機(トランジション)に着目した理論で知られる心理学者です。
シュロスバーグの理論は、
職業選択そのものよりも、転機(トランジション)に焦点を当てています。
転機とは、
・就職や転職
・昇進や配置転換
・退職や再就職
・家庭環境や健康状態の変化
このような明らかな変化のときをイメージするかもしれませんが、必ずしも劇的な出来事ではありません。
本人の中で
「これまで通りではいかない」
と感じた瞬間が、転機です。
転機は出来事ではなく、体験である
シュロスバーグ理論の重要な前提は、
転機は客観的事実ではなく、主観的体験であるという点です。
同じ異動でも、
ある人にとっては成長の機会になり、
別の人にとっては喪失体験になります。
キャリア心理学の視点では、
出来事そのものよりも、
その人がどう受け止め、どう意味づけているかが重視されます。
4つのSという考え方

シュロスバーグの理論では、
転機への向き合い方を整理する枠組みとして、
いわゆる「4つのS」が示されます。
状況
その転機がどのような文脈で起きているのか。
自己
本人の価値観、これまでの経験、自己理解。
支援
周囲からの支えや関係性のあり方。
対処
その人がどのように乗り越えようとしているか。
これらは評価項目ではなく、理解を深めるための視点です。
今、まさに転機にあると感じている方は、自分と身の回りのリソースを見つめるきっかけとして、4Sに照らし合わせて考えてみることをおすすめします。
キャリア心理学の視点で考えるシュロスバーグの理論

シュロスバーグの理論は、
キャリアを選択の連続としてではなく、
変化に向き合う過程として捉える視点を与えてくれます。
キャリアが揺らぐとき、
それは失敗ではありません。これまでのキャリアが否定されているわけでもありません。
それは、理解が更新されようとしているサインです。
人は常に変化します。ですが、その変化を感じるときと、感じないときがあります。
その違いは、自分が置かれている環境との適応の状況です。
キャリア心理学の視点では、変化にあると感じるときを「転機のとき」と捉えます。
大きな変化が内面に生じている今、それは、
より豊かで幸せに感じられる明日に向かって歩み出している瞬間なのかもしれません。









