
フェルトセンスとは、ユージン・ジェンドリンによって提唱された概念で、言葉になる前の「からだで感じている感覚」のことを指します。これは単なる感情とは少し異なり、まだはっきりと言葉にはできないが、確かに自分の中に存在している感覚や感触のようなものです。
たとえば、何かの選択をしようとしているときに、「うまく説明できないけれど、何か違う気がする」「理由は分からないけれど、こちらの方がしっくりくる」と感じることがあります。このような感覚がフェルトセンスです。
これは論理的に考えた結果ではなく、自分のこれまでの経験や価値観、記憶、感情などが一つにまとまって、身体的な感覚として現れているものと考えられています。
ジェンドリンは、人が自分の問題について考えるとき、言葉だけで考えるのではなく、このフェルトセンスに注意を向けることが重要であると考えました。人は言葉で説明できることだけを理解しているわけではなく、まだ言葉になっていない感覚の中にも、自分にとって重要な意味が含まれていると考えられています。
キャリアにおけるフェルトセンス
仕事を続けるか転職するか迷っている人がいるとします。条件だけを比較すると転職した方がよいように思える。しかし、なぜか気持ちが重く、決断できない。
このとき、「なぜ迷うのか」と頭で考えるだけではなく、
「この仕事について考えるとき、自分はどんな感じがするか」
「転職を考えるとき、体の感じはどうか」
といったように、自分の内側の感覚に注意を向けていくと、言葉では説明できなかった気持ちが少しずつはっきりしてくることがあります。
フェルトセンスに注意を向けるということは、自分の内側にある、まだ言葉になっていない意味に耳を傾けるということです。そして、その感覚に合う言葉を探していくと、自分の気持ちや考えが少しずつ整理されていきます。この過程を通して、人は自分の問題を新しい形で理解できるようになると考えられています。









