
青年期の自己探索の過程を具体的に説明した心理学者として知られているのがジェームズ・マーシャです。マーシャは、エリクソンのアイデンティティ理論を発展させ、青年期のアイデンティティ形成をより具体的に分析しました。
マーシャは、アイデンティティの形成には二つの重要な要素があると考えました。
その一つが「探索」、もう一つは「コミットメント」です。
探索とは、さまざまな価値観や人生の可能性を検討する過程を指します。青年は自分の興味や能力を考えながら、さまざまな進路や生き方を試し、比較しながら自分に合う方向性を探ります。例えば、将来の職業、人生観、政治的信念などについて考えることも、この探索の一部です。
コミットメントとは、探索の結果として、自分なりの価値観や人生の方向性を選択し、それに対して一定の決意を持つことを意味します。つまり、自分の進路や生き方について主体的に選択し、その選択を引き受ける状態です。
マーシャは、この探索とコミットメントの組み合わせによって、青年期のアイデンティティ状態をアイデンティティ達成、モラトリアム、早期完了、アイデンティティ拡散の四つのタイプ(状態)に分類しました。
マーシャによる青年期のアイデンティティ
アイデンティティ
達成
十分な探索を行ったうえで、自分の価値観や人生の方向性に対するコミットメントが形成されている状態です。自分の進路や生き方について主体的に決定していることが特徴です。
モラトリアム
探索は行われているものの、まだ明確なコミットメントが形成されていない状態です。青年期にはこの状態がよく見られます。将来について考えながらも、まだ最終的な決断には至っていない段階です。
早期完了
十分な探索を行わないまま、価値観や進路にコミットしている状態を指します。例えば、家庭や社会の期待に従って進路を決定する場合などがこれに該当します。
アイデンティティ
拡散
探索もコミットメントも十分に行われていない状態であり、自分の価値観や将来の方向性が定まっていない状態を指します。
マーシャの理論は、青年期の自己探索がどのように進むのかを理解するための重要な枠組みを提供しています。青年期には多くの場合、モラトリアムの状態を経験しながら、試行錯誤を通して徐々に自分の価値観や人生の方向性を形成していきます。
キャリアの観点から見ると、この自己探索は進路選択と深く関係しています。進学、就職、職業選択などの経験は、自分の興味や能力を確認し、社会の中でどのような役割を担うのかを考える機会になります。キャリアの探索は、青年期の自己探索の重要なテーマの一つといえるでしょう。











