
人は日常生活の中で、不安や葛藤、失敗、対人関係の緊張など、さまざまな心理的な負担を経験します。このようなとき、人の心はそのままでは強い不安や苦しさに耐えられないことがあります。そこで、心の安定を保つために無意識のうちに働く心理的な働きを、防衛反応(防衛機制)といいます。
防衛反応とは、自分の心を守るための働きであり、特別な人だけに起こるものではなく、誰にでも見られる心の働きです。重要なのは、防衛反応そのものが悪いものなのではなく、心のバランスを保つために必要な働きでもあるという点です。
代表的な防衛反応には、いくつかの種類があり、これらの防衛反応は、職場組織の対人関係の中でもよく見られます。上司に強い不満があるのに、その不満を認めることができず、「自分の努力が足りないのだ」と考える場合は合理化や抑圧が関係しているかもしれません。
また、自分が相手を苦手に感じているのに、「相手が自分を嫌っている」と感じる場合は投影が関係している可能性があります。
防衛機制もまた心理的な「クセ」が関係しており、反射的に返されるものです。一度、自分の考えを見直してみると、それはそのまま本心ではなく防衛機制によって説明ができる「反射」かもしれません。
代表的な防衛反応
抑圧
受け入れがたい感情や記憶、不安な出来事などを意識から追い出し、思い出さないようにする働きです。たとえば、つらい失敗経験を思い出せない場合などがこれにあたります。
合理化
本当の理由ではなく、納得できる別の理由をつけて自分を納得させることです。たとえば、本当は不合格で悔しいのに、「自分にはこの仕事は向いていなかった」と理由づけして気持ちを保とうとする場合などです。
投影
自分の中にある感情や考えを、相手が持っているかのように感じることです。たとえば、自分が相手を嫌っているのに、「相手が自分を嫌っている」と感じるような場合です。
反動形成
本当の気持ちとは反対の行動や態度をとることです。たとえば、本当は相手に不満を持っているのに、必要以上に親切にするような場合です。
退行
強い不安やストレスを感じたときに、より幼い行動や態度に戻ることです。たとえば、大きな失敗のあとに急に自信を失い、他人に依存するようになる場合などです。
打ち消し
不安を感じる行動や考えを、別の行動によって帳消しにしようとすることです。たとえば、失敗したあとに必要以上に頑張ろうとする場合などです。
取り入れ
(同一視)
他者の考え方や価値観、行動のしかたを自分の中に取り入れることです。尊敬する人の考え方や行動を自分のものとして取り入れるような場合です。











