
働くことの「本当の意味」となにか。非常にむずかしい問いではないでしょうか。人は仕事を通して経験を重ね、その経験をどのように受け止め、どのように意味づけるかによって、「働くことの意味」を自分の中に形成していきます。
つまり、その意味は「自分の中にしかないもの」です。他人の働き方や仕事への向き合い方を見て、あの人の働く意味はなんだろうか、と想像をしても、まったく想像に及ぶものではありません。
人には人の働く意味があります。
それが、キャリア・モチベーションです。
働くことの「本当の意味」とは
働くことの「本当の意味」を理解するときには、「内的キャリア」と「外的キャリア」の区別をすることが重要です。外的キャリアとは、他者から見えるキャリアの側面を指します。具体的には、職業、役職、年収、所属組織、昇進の履歴など、社会的に認識される客観的な経歴のことです。これらは履歴書や職務経歴書で示される内容であり、他者との比較や評価の基準となりやすいものです。
一方で、内的キャリアとは、自分自身がどのように仕事や経験を意味づけているかという主観的な側面を指します。仕事に対してどのようなやりがいを感じているのか、どのような価値観を大切にしているのか、自分にとってその経験がどのような意味を持っているのかといった、内面的な理解が内的キャリアです。
同じ仕事や役職であっても、内的キャリアの捉え方は人によって異なります。ある人にとっては「成長の機会」と感じられる仕事が、別の人にとっては「負担の大きい仕事」と感じられることがあります。外的には同じキャリアであっても、内的キャリアは大きく異なるのです。
キャリア・モチベーションを理解するうえで重要なのは、人は外的キャリアだけで動いているわけではないという点です。昇進や収入の向上といった外的な要因は確かに重要ですが、それだけでは長期的なモチベーションは維持されません。
むしろ、
「自分にとって意味があるか」
「自分の価値観と一致しているか」
といった内的キャリアの側面が、持続的なモチベーションに強く影響します。
このことは自己決定理論においても強調されており、人は自律的に選択し、自分にとって意味のある行動をしていると感じられるとき、より強く動機づけられることが知られています。
内的キャリアが充実している状態とは、
「自分の選択として仕事に取り組んでいる」
「その仕事に意味を見いだしている」
と感じられる状態です。
また、内的キャリアと外的キャリアの間にずれが生じることがあります。
例えば、外的には成功していると評価されているにもかかわらず、本人はやりがいを感じていない場合や、逆に外的には評価されていなくても、本人は強い満足感を感じている場合です。このようなずれは、キャリアの転機や見直しのきっかけとなることがあります。
キャリア形成において重要なのは、外的キャリアを追い求めることだけではなく、内的キャリアとのバランスをどのようにとるかです。外的な成功だけを基準にすると、内面的な納得感を失うことがあります。一方で、内的キャリアだけに偏ると、現実的な制約や機会を見落とす可能性もあります。











