
キャリア危機はこれまで学んできた多くのキャリア理論の中でも触れられています。代表的なものとしては、スーパーによりライフスパン・ライフスペース理論で示されている発達段階の移行期に生じる危機です。
スーパーは、発達段階を成長期、探索期、確立期、維持期、下降期であると説明しましたが、発達段階の移行時に生じる「再探索(リサイクル)」こそが、キャリア危機の考え方です。
確立期に入った後でも再び探索が起こり、中年期に自己概念の見直しが生じる過程は、まさにキャリア危機に対する内面の更新が行われているといえます。
また、シュロスバーグは、キャリアの変化を「転機」として捉え、危機をより実践的に説明しました。
転機とは、予測された変化、予測されない変化、非出来事(起こらなかったこと)から成り、これに適応していくための4Sとして、Situation(状況) 、Self(個人) 、Support(支援) 、Strategies(対処)を点検していくことの重要性を訴えました。
シュロスバーグによれば、キャリア危機とは、これらのバランスが崩れたときに生じる適応困難の状態です。
キャリアの危機とは、発達の節目で起こる再調整の役割を持っています。環境に再適応していくために、どのように自己を捉え直し、意味を理解していくか、そのときの構造理解としてキャリア理論に当てはめるとしっくりくることがあります。
キャリア心理学の学びとはまさに、キャリアの危機をどう説明するか、ということにあります。心は理解するのがむずかしく、理解しやすいかたちで表現されます。それが、「転職」「異動」「退職」といった名詞で表現できるものです。
本当の思いは奥深くにある
これに対して、本当の心はそのもっと深いところにある“変化“から生じています。その変化を説明するには時間がかかるかと思いますが、キャリア理論や産業心理学の視点を用いることで、自分なりの説明ができるようになります。
意外かもしれませんが、行動としての答えを出さなくとも、その心の変化を理解し、説明することができるようになると、なんとなくモヤモヤとしていた気持ちが晴れてきます。
行動の答えはその後に考えればいいのでしょう。雨の日に、無理に旅行に出る必要はありません。じっくりと、雨を見つめ、心に降る雨の音を感じることです。どんな感じがしますでしょうか。
それはまだ言葉で説明できなくても、なんとなく嫌な感じ、不快な感じ、それとも落ち着く感じがしてくるかもしれません。
今は、たくさん学び、理解し、その心を深めていくことです。
いつか、あのときの雨には「こういう意味があった」と深まるときがきます。そのときが、キャリア危機を乗り越え、キャリア成長を実感できるときなのだと思います。











